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男は叫ぶ「バカになれ!バカになれ!」と。男は言う「努力し続ける姿勢が必要なんだ、忘れないでやっていこう」と。丸裸、ヒラナイマコト。バンドスタイルによる東京在住ラストライブ、永久保存版。
Live in Prison Tokyo

メンバー
Vo&Gヒラナイマコト
Ba小黒昌明
Dr曽禰荒助

アンコール
シューティングスター
(Ba松本幹人を向かえ)

 収録曲
1、ジ・アンサー
2、ドライフラワーテイストオブハニー〜ブラックバード
3、ミッドナイトサファー
4、クラッシュ&ドリフティン
〜フラッシュバック&ゴー
〜放蕩息子
5、グリーンデイ

6,シューティングスター
6トラック全9曲収録 1000円
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 贔屓のミュージシャンのライブ帰り、ついでだからと『ヒラナイマコト東京ラストライブ.放蕩息子』を購入した。私が何回か観た彼のライブで最も良かった。筆舌に尽くしがたい感銘を受けたライブだ。

 やはりライブCDは良い。時に息切れし、上擦りながらも、開演前彼自身が宣言していたよう、正に“命懸け”減速する事無く最後迄全力疾走する姿が鮮明に想起され、胸を打たれる。この形振り構わぬ気骨と熱情、言わば“ロック魂”こそが、彼が、白いスーツを纏い赤薔薇をくわえつつ片目を瞑っても様になるような長身痩躯の古典的正統派ハンサムボオイでありながら、同性からの圧倒的な支持を受けている由縁であろう。
 私が彼のバンドスタイルのライブを観たのはこれが最初で最後だったのだが、その事が悔やまれるほど、他メンバーとの調和が心地よい。 とりわけ、インストナンバー『クラッシュ&ドリフティン』からの怒濤の畳み込みは秀逸。自在に呼応し合い、共にたゆたい、加速し、暴発していく様には、バンド間のうわべだけでない意思の疎通、有り体に言うところの“一体感”を強く感じる。
 「バカになれ!バカになれ!」と、シュプレヒコールの如く絶叫した後、煽動者.ヒラナイ自らが恥も外聞も金繰り捨ててイデオロギーを強烈に放出させる表題作、『放蕩息子』は出色の出来。そのけれん味の無い直球の歌詞と痛快な楽曲は、宛ら“平成のカッポレ”か。彼の柔軟性と振り幅の広さ、着想の豊かさを如実に表している。

  因みに、このアルバムを鑑賞する際、彼がホームページ内で公開している日記を併せて参照する事を強くお勧めする。気取りの無い飄逸な筆致の中に鋭い警句が散見し、作品に籠められた真意を読み説く鍵になるからだ。

 彼は言う。「(ライブに)来てくれた人全員に愛を振り撒く覚悟」だと。
 その「愛」とは、即ち「慈愛」なのでは無いかと私は感じた。
 己の全てを肯定し、過去を一切省みず、ひたすら前進する事を声高に訴える彼の姿は、ややともすると傲慢で独善的と映るかもしれない。私も何と無くそう思っていた。総てに於いてカッコ良すぎて、返って興味をそそられなかった。しかし、眼を閉じて繰り返しこの作品を聴いてみると、華麗で豪放なステージに眩惑されて見い出せなかった、彼のもうひとつの側面が浮かび上がって来た。

 ある意味、一曲目、『ジ・アンサー』での悲痛な叫びは、彼が私達に身をもって提示してくれる“答え”だとも言えよう。そう、磊落で一点の曇りも見受けられない彼とて、曾ては迷路のような闇を独り彷徨っていたのだ。誰もが皆、そうであるように。 そして、泣き叫び、手探りで、しかし決して逃げる事も後戻りする事もせず、死に物狂いで彼が探し出した答えは他でも無い、“他者との接触”だったのではあるまいか。それを裏付けるよう、彼の作品の大半では「出会いと別れ」「そこから得る経験と言う名の財産」が歌われている。 闇を引き裂いていくのは他の誰でもない自分自身。でもその側では、必ず誰かが力を添えてくれている。人は、一人では生きられない。彼はそれを、身に滲みてよくわかっている。そして、皆にもわかって欲しい。だから、彼は歌う。命懸けで、歌う。例え、誤解されても。例え、報われなくても。
 
 迫力のあるブレない歌唱と超絶的と評されるギターテクニックは、もはや天稟と言えよう。しかし彼は、その天賦の才に慢心せず、努力し続ける。関わった全ての人びとに心から感謝をし、信じた途を敬虔なまでにひたむきに走り続ける。人と人との深い相互理解を体現すべく身を削り、傲らず、衒わず。甚だ無礼な言い方になるが、凡百の「巧いだけ」「精一杯やっているだけ」のアマチュアミュージシャンと一線を画す彼の突出した存在感は、一朝一夕では形成し得ないその高邁な精神の賜物なのではなかろうか。
 俄に彼の内面にも魅力を感じ始めると、他の作品も更にじっくり聴きたくなり、後日野暮用で東高円寺に出向いた道すがら、弾き語りの方のアルバムも入手すべく、又ふらりとカットウに立ち寄ってしまった。

 私は音楽に関して全く知識が無く、楽器も出来ない人間だ。 だが、この作品は、最後まで飽きること無く存分に楽しめた。何度聴いても飽きない、それどころか、醸成して行くかの如く、新たな深く濃い味わいが次々と滲み出してくる。 ヒラナイマコトを愛する全ての人には勿論、まだ彼の存在を知らぬ不運な人びとにも、是非聴いて欲しい。音楽好きなら誰もが皆称賛するであろう、渾身の力作だ。

 投稿者:ダルビッシュ松子

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